川のデザイン
リビエールの名前の由来はフランス語の「かわ」からきているのは周知のとおり。昨年の卒業式で、2005年のデザインテーマは「川」と発表しましたが、早速研究会が動き始めました。
川の持つイメージからドナウ「源流」の清らかさを表現したい、ヴェッキオ橋下に眠る金工細工というロマンチックなアルノ川、或いは大海原へと注ぐ大河からボッチチェリの「ビーナスの誕生」まで発展、夫々の川が膨らみ始めました。川は留まる事のない「流動性」が特徴だとすると、水を求め定住する人間はその反対かもしれません。絶えず変化する川から普遍的なものへと作品のイメージは変化しているようです。
「永遠」は手にする事ができない代物故に目指す価値があります。生命あるものに等しく訪れる終焉の時を知っているからこそ、私たちは命を越えて続く「美」を植物や鉱物で表現しようとするのです。自然は人間の意志でできるものではなく、あるがままの形を私たちが利用していくものです。ベストを尽くして制作してもこれで完璧と思える暇もなく、より高尚なるものへと導かれます。
「川」の流動性もきっと同じ。泉や湖から流れる川も流れっぱなしということはなく、また雨となって転生していくものです。私たちリビエールは究極の美を求めて、悩み、切磋琢磨して制作しますが、この姿こそ「川」に例えられるのではないでしょうか。川のデザインを考えながら、川にリビエールの姿を投影している自分に気がつきます。どうぞ今年の作品をご期待ください。
片山 理恵子
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